面接で評価がブレる7つの理由

面接で評価がブレる7つの理由

鈴木洋平

鈴木洋平

モギセン開発者/株式会社採用と育成研究社取締役/ビジネスシミュレーションプログラム開発/採用と育成のシームレスな接続/ワールドトリガー/川崎フロンターレ

採用における選考プロセスとして面接を実施している企業は多いと思います。

ところが、下記のような声をよく聞きます。

  • 面接官Aさん
    面接では優秀だと感じたが実際の仕事を見たらそうでもなかった。
  • 現場担当者Bさん
    面接での評価は高いと聞いていたが実際の仕事でのパフォーマンスが低い。

なぜこのように面接における評価は失敗に終わってしまうのでしょうか。
それには次の7つの理由が挙げられます。


  • 評価対象の能力のズレ
  • 面接官の質問スキル不足
  • 面接官の評価スキル不足
  • 論理性の過大評価
  • 応募者による印象操作・フェイク
  • 間接評価の限界① 再現性の確度
  • 間接評価の限界② 難易度コントロール


1. 評価対象の能力のズレ

どのような人材を自社にとって「活躍してくれる人材」とみなすのか。企業、職種、役割、担当してほしい仕事などによってそれぞれ優秀さの定義は異なるはずです。

この定義や基準を曖昧なままになんとなく一般的に優秀と感じる人材を高評価としても、結局それは自社にとって活躍してくれる人材とは限りません。


2. 面接官の質問スキル不足

上記1が定義してあったとしても、それを見極めるための質問ができなければ評価することはできません。

「あなたを動物で例えると何ですか?」

上記のような何を評価するためなのかわからない質問がなされているケースもあり、このような面接官にあたってしまった応募者が不幸です。

質問を構造化してあったとしても、ある程度の深堀り質問は必要になるケースが多く、深堀りのポイントを誤ると当然ながら評価の確度は高まりません。


3. 面接官の評価スキル不足

質問スキルを駆使し、応募者からエピソードや行動事実を引き出せたとしても、第一印象が良くなかったため評価を低くする、あるいはその逆といったことはよく聞く話です。ハロー効果、寛大化/厳格化傾向、中心化傾向などの心理的バイアスがあることを意識しておかないと妥当性の高い評価はできません。


4. 論理性の過大評価

面接という評価手法は、構造として言葉のキャッチボールになります。言葉のキャッチボールがスムースにいく応募者は「優秀である」と評価されがちです。

大枠として誤りではないですが、言葉のキャッチボールのスムースさは多くの場合「論理性」に起因しています。つまり、この観点で評価しているのは論理性の高さであり、それが上記1で定義した活躍人材とマッチしているかは別問題です。


5. 応募者による印象操作・フェイク

応募者は自身の経験を過大に表現したり捏造したりする場合があります。本人にその意識がなくても、チームメンバーがやり遂げた経験を自身の経験かのように話す応募者もいます。また、面接では自身の悪い点はわざわざ話す必要はありません。これらの見極めは実際には困難であり、評価がブレる要因になっています。


6. 間接評価の限界① 再現性の確度

面接では多くの場合、応募者の過去の経験を聞きます。面接という評価手法では、リーダーシップなどの活躍人材に必要な行動特性の多くはその場で発揮してもらう(直接評価する)ことができません。過去に当該の能力を発揮した経験を聞き、その再現性に期待する(間接評価する)、という構造になります。

この場合、発揮の度合いは応募者の口頭による表現がすべてなので、再現性を本当に期待してよいのか判断が難しくなります。


7. 間接評価の限界② 難易度コントロール

応募者が話す過去の経験が「どの程度困難な場面における経験だったのか」は評価の重要な指標です。全員自分の言うことを聞く部下の前でリーダーシップを発揮するのと、様々なステークホルダーが介在して意思統一が取れていない状況でリーダーシップを発揮するのとでは、難易度が完全に異なります。

面接での過去の経験は応募者がエピソードを自ら選択して話すので、難易度コントロールのボールを応募者が持っています。また、評価者側が期待する難易度における経験は応募者は持ち合わせていない可能性もあります。

難易度が易しい場における経験を聞いても、仕事における再現性は期待できないケースが多いですが、難易度については評価者側でコントロールすることができません。



面接の構造としてどうしようもない要因もある

面接官側、応募者側がどうにかすれば改善できる要因はクリアできる可能性もありますが、上記6,7(間接評価の限界①②)は面接の構造上、どうにかすることが難しい観点です。

ですので、選考のひとつのプロセスとして面接は実施しても良いですが、面接以外の手法と組み合わせなければ評価の妥当性は高まりません。

評価対象の能力にもよりますが、上記6,7(間接評価の限界①②)は直接評価手法の導入で回避することができます。直接評価にもっとも良いのは実際にいっしょに働いてみること(試用期間、インターン)ですが、現実的に導入が難しい場合もあるでしょう。

そこで、特に新卒採用においては難易度をコントロールしたグループワークの導入による行動観察がオススメです。単なるディスカッションレベルでは難易度が易しすぎて仕事のパフォーマンスを測定できない可能性が高いです。

難易度の高いグループワークにはビジネスシミュレーションが向いています。

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